暗雲~星になる 特別な指導
中学1年の秋 はじめて指導を受ける

2011年11月4日 
[星になった少年]は道徳の授業での振る舞いにより特別な指導を受けた

問題となったのは、担任の先生による道徳の授業での下記の振る舞いである。
  1. [星になった少年]は、クラスメイト2人と「カメ虫やくさガメの話し」をして授業を静かに聞かなかった。
  2. [星になった少年]は、ワークシートに友達と話ながら「最近、カメ虫が増えて、よく洗濯物にくっつく、大量発生、うざい状態他」を書いた。
  3.  1.と2.のことを「カメの名のつく担任」へ向けて書いたと別の教師に問い詰められ[星になった少年]は認めさせられた。
[星になった少年]は、この振る舞いにより 41日間におよぶ特別な指導を受けることとなった。
特別な指導の内容は、下記の通り。
別室による個別反省指導
(5日間)※休日での2日間の自宅謹慎を含む
  • 登校時間は他の生徒よりも遅く、下校時間は他の生徒よりも早くし他の生徒とは隔離した状態で給食時間も含め別室に留め置き別室指導を行う。
  • 別室では教科学習はなく、ひたすら反省文を書く。校長が反省を認めるまでは、反省文を書き続ける。
  • [星になった少年]は、この件に関し4回も反省文を書き直させられた。
  • 休日に2日間、自宅での反省
授業改善ファイルによる個別反省指導
(36日間)
11月9日から12月15日まで毎日、生活改善ファイルの記入をさせられた。
生活改善ファイルは、各教科・授業毎に教員が授業態度を○、×で評価し記入する。
生徒が今日の反省と家庭での過ごし方を記入する。
生徒指導規定には、特別な指導に対する対応と内容が3段階の指導として定められている。 [星になった少年]は、いきなり第3段階の指導が申し渡された。
特別な指導の段階指導を1段階下げるには、4 カ月以上問題行動がなく努力が見られくてはならない。
第3段階が適用された場合は、特別な指導が1年以上行われることとなる。

平成23 年度 生徒指導規定より引用
第10条 特別な指導は,次の通りとする。期間は,概ね1 日から5日間とする。
ただし,問題行動の程度や繰り返し等により指導期間を変更することがある。
(1)特別な指導に対する対応
  • 第1段階-本人への説諭,事実・反省・宣誓の文章の作成および保護者への連絡
  • 第2段階-第1段階の指導を踏まえた保護者との面談(場合によっては保護者引き取り)
  • 第3段階-第2段階までの指導を踏まえた学校からの懲戒(校内反省個別指導)段階指導の途中で問題行動を起こした場合は,その段階の次の段階の指導を行う。
なお4 カ月以上問題行動がなく努力が見られた場合には,段階指導を1段階下げる。
ゼロトレランス
「ゼロトレランス」とは、学校が明確な罰則規定を定めた行動規範を生徒・保護者に示し、破った生徒にはただちに責任を取らせる生徒指導の方法。ルールを破った生徒には、容赦ない罰則を与える。
ゼロトレランスは、もともと、「不良品を許容しない」という産業界の考えだったが、「子供を不良品にしてはいけない」という意味で、その考えが応用された。
厳しい規定により、教員は子どもに寄り添い励ますことをやめ、管理と排除の姿勢を強め「子どもを力で抑える教育」を推進してしまう。
「例外なき指導」、「毅然とした指導」により子どもは息苦しさを感じ自尊心を深く傷つけられるのではないでしょか。

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コラム
[星になった少年]が、授業の妨げたかたちになり指導の対象となったのだと思います。
しかしながら、指導の内容が厳しすぎるのではないでしょうか?
厳しすぎる指導は、生徒を深く傷つけるだけで、生徒の豊かな成長にはつながりません。
また、厳しすぎる指導は、体罰と判断される可能性があります。
体罰とは、直接体が触れるものだけをいうのではありません。
文部科学省が発行した 「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」には、”懲戒と体罰の区別は諸条件を、客観的に考慮して判断すべきである。”と記述されています。 諸条件には、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等が含まれています。

「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」より引用
●学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例
本紙は、学校現場の参考に資するよう、具体の事例について、通常、どのように判断されうるかを示したものである。本紙は飽くまで参考として、事例を簡潔に示して整理したものであるが、個別の事案が体罰に該当するか等を判断するに当たっては、本通知2(1)の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある。
(1)体罰(通常、体罰と判断されると考えられる行為)
 ○ 身体に対する侵害を内容とするもの
(省 略)
 ○ 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
  • 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
  • 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
  • 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」より引用
1 体罰の禁止及び懲戒について
   (省 略)
懲戒が必要と認める状況においても、決して体罰によることなく、児童生徒の規範意識や社会性の育成を図るよう、適切に懲戒を行い、粘り強く指導することが必要である。
ここでいう懲戒とは、学校教育法施行規則に定める退学(公立義務教育諸学校に在籍する学齢児童生徒を除く。)、停学(義務教育諸学校に在籍する学齢児童生徒を除く。)、訓告のほか、児童生徒に肉体的苦痛を与えるものでない限り、通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為として、注意、叱責、居残り、別室指導、起立、宿題、清掃、学校当番の割当て、文書指導などがある。
2 懲戒と体罰の区別について
(1)教員等が児童生徒に対して行った懲戒行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある。この際、単に、懲戒行為をした教員等や、懲戒行為を受けた児童生徒・保護者の主観のみにより判断するのではなく、諸条件を客観的に考慮して判断すべきである。
この指導により[星になった少年]は大きく傷ついた。
しかし、第三者委員会は下記の理由により報告書の検討範囲から除外しています。

 第 三者委員会 報告書より引用([星になった少年]は、報告書上ではA君)
その後、中学校に入学し、平成23年11月に、生徒指導規定に基づく特別指導を受けることがあったが、態度も良く、立派な内容の反省文を仕上げた。
この時、A君から真に納得が得られていたのか、そして特別指導のやり方等に問題がなかったか否かは、それ自体検討を要する事柄ではあるが、その後、平成24年10月まで特に目立った問題行動はみられず、A君は意欲的に部活動を含む学校生活に取り組んでおり、約1年後に起こる自殺との直接的な関連性を認めることは困難であると調査委員会は判断した。
反省・努力

[星になった少年]は、道徳の授業での振る舞いを反省し、学校生活を改善する努力を続けた。
クラブ活動でも、冬のトレーニングの頑張りが評価され、春からはピッチャーとして多くの試合に出場するようになった。
2年生の秋までは、大きな指導もなく中学生活を楽しんでいた。
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